奴隷の悦びに目覚めてしまった箱入りお嬢様の告白 ※DVD収録
告白 麻衣(PN)
マニア倶楽部編集部の皆様、初めまして。私は麻衣という名の大学二年生です。十五歳年上のご主人様がいます。
今日この手紙とともに送るのは、私の調教の記録です。このような写真を人の目にさらしていいのだろうか、とずっと悩んでいます。どんなふうに受け止められるのか、想像するだけで震えるほど怖いです。
写真と動画でしていることも、人に見せて良いものだとは思えません。それでも私は、どんなに悩んでも投稿すると決めました。それがご主人様の命令だから、喜んでもらいたいからです。
ご主人様は、十五の年から五年間思い続けた人です。
もちろん中学生の私はSMというものが存在することも知りませんでした。私がなりたかったのは彼女であり、奥さんであり、でした。
そして自分がそうなるとしたら、相手は長谷川さんしかいないと思っていました。長谷川さんが今のご主人様です。
男性の匂い
私の父は専門書を扱う出版社を経営していました。小さな企業ですが、当時は立て続けにノウハウ本が当たり、それなりに繁盛していました。
父は典型的な昭和の経営者で部下の面倒見がよく、若い社員を家に呼んでは食事やお酒を振る舞っていました。独身の男性社員などは母の手料理を喜び、そんな日は私も母を手伝って煮物や炊き込みご飯を作りました。
「麻衣ちゃんは料理が上手だね」
「将来、良いお嫁さんになるよ」
と皆さんほめてくれましたが、私は長谷川さんという営業さんがおいしそうに食べてくれるかどうか、そればかり気にして見ていました。
長谷川さんはスポーツから海外文学まで話題が豊富で、話が面白く、母や弟は「ハッシ―」と呼んでいました。
でも、私は「ハッシ―」はもちろん「長谷川さん」と呼ぶのもためらっていました。名前を呼んだら、男性として惹かれていることがばれてしまうような気がしたからです。
父が仕事の話で若い人を叱るようなこともありましたが、そんな時長谷川さんは必ず後輩をかばい、励まします。ふだんは明るく楽しいお兄さんですが、頼りがいのある人なんだなあと、私はますます夢中になりました。
将来結婚するとしたら長谷川さんがいい、そうでなければ一生独身でいよう、とひそかに心に決めていました。
私はどちらかと言えば潔癖が強く、母はいつも、
「麻衣は奥手で結婚できないのでは」
と心配していました。私は性的なことにあまり興味がありませんでした。
学校は中高一貫の女子校なので、みんな教室でエッチな話をします。男子の目がない分、女子校のほうがオープンかも知れません。
中学の休み時間のことでした。
「ゆうべ自分のアソコ、見ちゃった。超グロかった!」
「マジ? どうやって見んの?」
「こうだよ、こう!」
と、机の上に乗って大股を広げ、鏡に映すポーズを取る友だちにみんなは大爆笑。私もいっしょになって笑いましたが、自分のそこを見ることは絶対ないだろうと思いました。
恥ずかしい、グロテスクな自分の体を認めたくない、そんないやらしいポーズを取りたくない……様々な気持ちがごちゃ混ぜになって襲ってきて、想像するのもつらいという感じでした。
そんな私ですから、母の言うとおり結婚はむずかしいかも、と感じていたのです。でも、長谷川さんなら……そんな私を許してくれるのではないか、という期待がありました。
高校になってからは、潔癖がすぎる自分についてネットで調べたりしました。自分でも心配だったからです。
世の中には誰にも性的魅力を感じないアセクシュアルと呼ばれる人たちがいることを知り、私もそうなのかな、と思うようになりました。だとしたら、恋愛も結婚もむずかしいだろうと絶望的な気持ちになりました。
でもある日、酔った長谷川さんが始発まで仮眠していった時のことです。翌日、母に言われた私は長谷川さんの寝ていたリビングを片付けました。
リビングに入ると、男くさい匂いが鼻をつきました。父や弟のそれとは全然ちがう、ずっと濃い匂いです。
もっと嗅いでたい、この匂いに包まれたい……。
長谷川さんが掛けていたタオルケットを手に取ると、さらに強く男の匂いがふわっと広がり、私は思わずタオルケットに顔をうずめていました。
土曜日で学校は休みでした。母に見つからないように長谷川さんの使ったタオルケットを自室に隠し、毎夜それにくるまって眠るようになりました。
自慰はしませんでした。自分のあそこに触るのは怖かったので。でも、長谷川さんの肌の匂いに包まれていると興奮して、それだけで幸せでした。
私は自分の体に対して臆病で、恥ずかしがりなだけで、アセクシュアル(編集部註/恋愛感情の有無にかかわらず他者に対して性的な欲求を抱かない指向)ではないとはっきりわかりました。タオルケットじゃなくて、長谷川さんの肌にふれたい、直接ふれたい、と思ったからです。
この続きは、マニア倶楽部2021年9月号をご覧ください。