病室で奴隷になることを誓ったマゾ看護婦の告白
告白 本村早希(仮名)
「絞められる」感覚
自分が異常者だと人から指摘されて気づくことがあるなんて、思いもしませんでした。自分が異常者だということに自分で気づかないまま、私はこの歳まで生きてしまったのです。
でも今にして思えば、誰にも話せない秘密が、私にはずっとありました。
それは、私が男性の手で首を絞められることに、心ひそかに興奮してしまうことです。
私には二つ上の兄がいます。
兄と私は同じ高校に通っていました。そして兄が高校の柔道部に入っていた関係で、一年生の頃に成り行きで柔道部のマネージャーになったのです。
柔道部には、私以外に女子がいないので、私はマスコット的存在になっていました。
部活が始まる前に、男子から遊び半分に寝技や絞め技をかけられたことがありました。
じゃれ合いのようなものでしたが、屈強な男子に道場の畳の上で身動きが出来ないほど押さえ込まれると、なぜか胸の高鳴りを感じてしまい、決して嫌ではなかったのです。
そんな私の反応を面白がって、部員たちはたびたび私に寝技をかけてきたのです。
汗臭い道着を着た男子と体が密着した状態で、どさくさまぎれに胸のふくらみや股間を触られることもありました。
そんなとき、思わず「んっ……!」と湿った声が出てしまうと、何故か被害を受けている私の方が罪悪感を覚えたのです。
自分が男子たちから性的な目で見られていることを実感して、胸がドキドキしました。だから私は、技をかけられても抵抗はしなかったのです。それは秘密の愉しみですらありました。
でもある日、そのじゃれ合いのような遊びがエスカレートして、私が絞め落とされてしまう事件が起こったのです。
頸動脈を男子の太い腕で圧迫された瞬間、力が抜けて、そのまま目の前が真っ白になり意識が飛んでしまったのです。
それを見ていた部員の一人が慌てて顧問の先生を呼んできました。先生は激怒して、今後はいっさい、私を練習台にしないよう部員に命じたのです。
それ以来、私を絞める部員はいなくなりました。
そのことが私は内心、残念でならなかったのです。
私は絞め落とされ意識を失う瞬間に確かな快感を覚えていました。体が浮き上がるようなその感覚が、忘れられなくなってしまったのです。
そして、その快感ははっきりと性的な感覚と結びついていました。そしてあの瞬間の感覚を追い求めて、自慰に耽るようになってしまったのです。
ときには、自分の首を自分の手で絞めたりしながら、性器を指先で弄んだのです。
妄想するのはもちろん、屈強な男性の腕で自分が絞められる瞬間でした。奥手な私は、性的な知識がきちんと身につく前に、首絞めの感覚と性感が結びついてしまったのです。
ときどきテレビドラマなどで登場人物の首が締められるシーンなどを見ると、それだけで体が熱くなるほどでした。そしてその夜には、きまって自慰行為に耽ってしまうのでした。
夢にまで見た屈強な腕
私は男性との交際経験もなく、女性比率が圧倒的な看護学校に進学しました。そして、自分の性癖の異常さを理解しないまま卒業したのです。
卒業した私は、とある大病院に勤めることになりました。
仕事は激務でしたが、それが幸いだった部分もありました。
日々の業務に追われ、いつの間にか首を絞められる妄想からも遠ざかりました。自慰行為に耽る暇さえなかったのです。
しかしとあるきっかけで、私の秘密の妄想が、甦ってしまうことになったのです。
そのきっかけは、病院で私が担当したすることになった一人の入院患者さんでした。
坂本さん(仮名)というその患者さんは、丸太のように太い首と腕と厚い胸板を持つ、体格のいい四十代の男性でした。筋肉質というよりは、ずんぐりとした体型の方です。
坂本さんを一目見た瞬間から、私はかつて自分を悩ましていた妄想がフラッシュバックのように甦ってしまいました。
坂本さんは、私が妄想の中で組み伏せられた相手の男性そのものの姿をしていたのです。
初めての入院だという坂本さんにナースコールの扱い方などを教えるときにも、動揺してしどろもどろになる始末でした。
その晩、私は坂本さんの姿を反芻しながら、久しぶりに自分を慰めました。坂本さんの太い腕が自分の首に絡みついて絞め落とされる瞬間を想像すると、本当に失神してしまうのではないかというほどの快感に全身が襲われました。
この続きは、マニア倶楽部2024年5月号をご覧ください。